団十郎さんを偲ぶ

昨年の勘三郎さんに続き、団十郎さんの訃報。
私が歌舞伎を観るようになったのは以下の作品の影響ですが・・・

きのね(上) (新潮文庫)

きのね(上) (新潮文庫)

きのね(下) (新潮文庫)

きのね(下) (新潮文庫)

この小説のモデルになっている方こそ、亡くなった十二代団十郎さんのお父上である十一代団十郎さんなので・・・・格別の思いをもって団十郎死去の報に接しております。。。。

小説の中で彼は女中あがりの光乃の子として生まれるのですが、光乃は女中なのでダンナに出産の手伝いを頼むこともできず、たった一人で出産に挑み、便所の中で男の子を生みます。産婆が駆けつけたときには光乃は何事もなかったように着替えをすませ赤ちゃんを座布団に寝かせているのです。産婆はその姿を見て「聖母子のようだ」と合掌するのです。

・・・そのような経緯で生まれた子が今の団十郎さんなわけで私はこの「聖母子」という章を何度も読みました。胸が揺さぶられるような命の生まれる瞬間のシーン。

小説とはいえこの子が今の団十郎さんかぁ・・・と思うとお父上と同じく、「まだまだこれから」で逝ってしまう無念を思うと胸がいっぱいです。(勘三郎さんしかり)

将来的には今の海老蔵団十郎を継ぐんでしょうけど、素人目にも今の海老蔵にはまだ荷が重すぎると思う。団十郎助六、一度は観ておきたかったなぁ。
早くこの小説に出会っておけばよかった。
残念で残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。